9月6日、AVのモザイク修整が薄いとして、2007年に審査団体の日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)が「わいせつ図画頒布幇助」で検挙された事件の一審判決が下され、被告(ビデ倫審査員とメーカー幹部)全員が有罪となった。
この判決はAV業界にどのような影響を与えるのだろうか? 1980年代からAV業界の動向を論評し、著書に『アダルトビデオ革命史』などがあるライターの藤木TDC氏は、今後のAV業界をこう占う。
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多くの日本人がインターネットで海外サイトから配信される無修整のポルノ動画を楽しんでいる。これまでもネット配信は国内でDVD販売するメーカーにとって大きな脅威だったが、今後レンタル・販売される商品の修整が1990年代レベルまで厚くなれば、ユーザーはAVを見捨て、海外発のネット配信だけ見るようになるだろう。そうなれば多くのAVメーカーの経営状態はますます悪化する。
「モザイク修整」は、今や世界基準からとり残された日本固有の「ガラパゴス」現象だ。このまま日本でポルノが解禁されなかったらどうなるだろう。中国、韓国の企業が日本製ポルノ=AVを優良なコンテンツとして注目しているのは確実で、彼らの参入する日はきっとくる(ネット配信はすでに中国系アメリカ人参入ずみだ)。
世界市場進出に躍起なそれらの国が手がけるなら、モザイク修整を必要としないだろう。中国・韓国製ポルノが登場すれば、これまで日本の独壇場であったAVはあっという間に市場を奪われてしまう。
その時にモザイクの是非を延々と論じていた不毛がようやく理解されるのだ。日本独特のエロス文化として花開いたAVだが、規制強化がなお続けられるなら、その未来はけっして明るくない。
※週刊ポスト2011年10月28日号
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