2013年6月8日土曜日

中国にいる独身男性のAV女優を求める理由とは

中国では、富裕層の男性による、まるでオーディションのような花嫁探しが各地で繰り広げられているが、一方で30歳を超えても結婚できない男性が増加中だ。彼らは「結婚市場での売れ残り」という意味の「剰男」と呼ばれている。  北京市青年連合会の調査によると、結婚適齢期とされる30~39歳の未婚男性は約1200万人に達したという。同年齢層の未婚女性は582万人にとどまっており、倍以上の“男余り”状態になっているのだ。  中国在住のフリーライター・吉井透氏は、剰男にとって事態はさらに深刻になるという。 「中国は、一部の富裕層が何人も愛人を囲うので、実質的に一夫多妻制みたいなもの。また、都市部では中国人女性と外国人男性との結婚が増えているので、実際はさらに多くの男が余っていることになるでしょう」  かつては「家・車がないと結婚できない」といわれた中国の婚活市場だったが、同調査では剰男の37%が修士号以上の学歴を持ち、29%の月収が22万円を超えていることが判明。経済力があっても結婚できない男性も少なくないようなのだ。  上海在住の旅行会社勤務・向井典明さん(仮名・40歳)の身近にも、あえて剰男となることを選んだ男性がいるという。 「日系企業に勤める35歳の中国人ですが、いわゆる草食男子というタイプでもなく、収入もそこそこで女性にも人気がある。それでも独身を通す理由を聞いたら、結婚したときの一生分のコストを計算したら、毎日風俗に通い、家政婦を雇ったほうが安上がりなことが判明したんだとか。中国人らしい実利主義だなと感心してしまいしたよ」  一方、「剰男の増加には日本のAVの影響もある」と話すのは、広東省東莞市のメーカー勤務・高島功夫さん(仮名・37歳)だ。 「恋愛経験の乏しい中国の男のなかには、AVの中の、美しくて献身的で官能的な女性像をリアル世界に求めてしまう人が少なくないんです。30代前半の私の知人にも、波多野結衣や蒼井そらなどのAV女優以外との結婚は『ありえない』と本気で断言しています。たしかに、気が強くて要求ばかり多い中国人女性と比べるとAV女優は女神に見えてしまうので、ムリもないかもしれません(笑)」  実利主義で結婚しないことを選ぶ人がいる一方、理想主義が過ぎて結婚できない男性もいるという複雑な中国の剰男事情。しかし彼らのなかには、結婚とは別の形態で、ライフパートナーを見つける人も増えているという。中国で活躍する日本人タレントの宮下匠規氏は話す。 「女性の社会進出が盛んで、男性より女性の平均月収のほうが高い都市も出ている。一方、料理、洗濯など家事全般ができる男性が多い中国では、夫婦の役割分担は曖昧になってきており、結婚に意味を見いだせない男性が増えているのでは。そんな事情もあって家庭内でも女性の発言権が強く、結婚しても妻に頭が上がらない男性も多い。『伴侶にするなら女より男のほうがマシ』と考える男性も出てきており、同性愛カップル増加の一因にもなっています」  結婚という有史以来続く社会システムは、まもなくこの国で崩壊しようとしているか。 <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】

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