2013年6月18日火曜日

日本弁護士連合会が児童ポルノ禁止法改正案の単純所持刑事罰化に反対

自民・公明・維新が共同提出した児童ポルノ禁止法改定案に対し、日本弁護士連合会は6月13日、山岸憲司会長名で反対する声明を公表した。単純所持の刑事罰化について、改定案では捜査権の乱用を招く懸念が全く払拭できないと批判。漫画・アニメの規制も視野に入れた「調査研究」の実施を規定していることについては、同法の目的は「あくまでも実在の子どもの人権保障であって、善良な社会風俗の保護ではない」として反対している。  日弁連はこれまで、現行法による児童ポルノの定義について、「性欲を興奮させまたは刺激するもの」という主観的要件が含まれており、児童ポルノの構成要件該当性を客観的に判断できない上、広範囲かつあいまい・不明確な定義になっていると指摘してきた。  3党による改定案では、処罰の対象となる単純所持を「自己の性的好奇心を満たす目的で」と限定しているが、「このような主観的な目的には曖昧さが残ることは否定できず、しかもあくまでも内心の問題なので、少なくとも捜査段階では、所持しているという客観的要件を満たせば身体が拘束されるおそれがある」と指摘する。取り調べの可視化が進まない現状では「密室での取調べの中で、主観的目的について無理に『自白』させられるという事態が生じるであろうことが容易に推測できる」と懸念し、「主観的要件での絞り込みは捜査権の乱用を防ぐ方法にはなり得ない」とした。  漫画・アニメなどの「調査研究」については、「表現の自由に対する重大な侵害になり得るので、このような『検討』項目を、軽々に法律に規定することは反対である」としている。  また改定案はネット事業者に捜査機関に協力する努力義務を盛り込んでいるが、「努力義務としつつ、実際の運用面では協力が強制されていくことが大いに懸念される。その結果、犯罪と関係ない多くの市民のプライバシー情報が捜査機関に収集される事態になりかねない」と懸念している。  日弁連は2010年、児童ポルノ禁止法改定について意見書を発表。児童ポルノについて定義を明確化した上で、子どもの人権保障の観点から単純所持を法律上明確に禁止することを提言した上で、単純所持を犯罪として処罰することは捜査権の乱用を招くなどとして反対していた。 自民、公明両党と日本維新の会が衆院に共同提出した児童買春・ポルノ禁止法改正案について、さいとう・たかをさん、藤子不二雄Aさんをはじめ著名漫画家でつくる「21世紀のコミック作家の会」は18日、「日本の漫画文化の衰退を招く」とする反対声明を発表した。  声明は、漫画・アニメについて政府が3年間をめどに調査し、必要な措置を取るなどと定めた改正案について「自由な発想・表現の下に創作活動を展開する漫画家の自由を奪う」などと懸念を表明。「読者からの支持を得られない『面白くない』漫画ばかりが量産される可能性がある」と指摘し、改正案の撤回を求めている。 (共同)

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