2013年8月30日金曜日

マイクロソフト新CEOに必要な「仕分け」の思考


2013年 08月 26日 18:06 JST
 
By Robert Cyran

[ニューヨーク 23日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 米マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)の次期トップには「less is more(少ない方が得るものは大きい)」という思考が必要だ。同社のスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は23日、1年以内に退任すると発表した。このニュースを受けて同社の株価は急騰し、時価総額は約200億ドルも膨らんだが、このことは投資家が新たな戦略をどれだけ望んでいたかを示している。無駄が多い「あらゆる手を尽くす」という手法は捨てるべきだろう。

バルマー氏は「ウインドウズ」と「オフィス」で市場をほぼ独占する同社のトップを引き継ぎ、収益をさらに増やすことに成功してきた。同社の昨年利益は、バルマー氏がCEOに就任した2000年に比べて2倍超の220億ドル。一方、売り上げは3倍以上増え、同氏が販売重視の戦略を取ってきたのは明白だ。

マイクロソフトは今も、利益の約4分の3をウインドウズとオフィスなどで上げている。検索エンジン「Bing」を担当するオンラインサービス部門は赤字が続いており、過去3年間で120億ドルの損失を出している。ゲーム機などを手掛ける娯楽・機器部門は黒字だが、携帯音楽プレーヤー「Zune」やスマートフォン「KIN」などの失敗を取り戻すには至っていない。

同社によると、新たなCEO探しには1年かかる可能性があるという。バルマー氏の後継候補には、基本ソフトを担当するテリー・マイヤーソン上級副社長など内部の人間のほか、バルマー氏のライバルだった同社元幹部ポール・マリッツ氏、ダークホースとして米フェイスブック(FB.O: 株価, 企業情報, レポート)のシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)の名も挙がっている。

誰が新CEOになっても、手始めにビジネス向けソフトウエアに集中することで、すぐにでも点数を挙げることはできる。「Xbox」のゲーム機部門を売却すれば、さらなる資産をもたらすだろう。検索事業やモバイル端末事業の廃止や分離も損失縮小につながる。マイクロソフトは7月、タブレット端末「サーフェス」の在庫に対して9億ドルの特別損失を計上している。マイクロソフトはこうした事業見直しで、米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)の「iPad」とオフィスの親和性を高めるなどの取り組みに集中することも可能になる。

ビジネス向けソフトウエアへの集中は、マイクロソフトをより理解しやすくし、運営面でもシンプルになるだろう。同社の業務はバルマー氏による最近の組織再編でより複雑になっていた。株主も収益増加の見通しを快く思うことは間違いない。バルマー氏の引退発表でマイクロソフトの株価は急騰し、同氏が保有するマイクロソフト株4%の価値は10億ドルに近付いた。変革が実現すれば、その価値はさらに膨らむだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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