2009年1月14日水曜日

産経も厳しくなるばかり

ここまで落ちれば首相も吹っ切れたのではないか。小社・FNNをはじめ、ほとんどの新聞・テレビの世論調査で、麻生太郎内閣の支持率は20%を切った。したり顔の評論家にいわれなくても政権が危険水域に突入したくらいは小学生でもわかる。
 ▼「首相にふさわしい」政治家も麻生氏は、民主党の小沢一郎代表はもとより、渡辺喜美氏にも抜かれ、4位の5・9%に甘んじた。わずか3カ月半ほど前に自民党「最後の切り札」として颯爽(さっそう)と登場した彼にとってこれほどの屈辱はない。
 ▼さっそくというべきか、渡辺氏は首相に三下り半をつきつけた。「派閥の前に党があり、党の前に国家国民がある。国会議員は全国民の代表であり、誰の代理人でもない」との父・ミッチー譲りの弁は、正論である。陰口をたたいても離党に踏み切れぬ腑(ふ)抜け議員よりは立派だ。
 ▼それでもへそ曲がりの小欄は、「本当にけしからん男だ。彼とは二度と仕事はできない」と本気で怒っている金子一義国土交通相に大きくうなずいてしまう。船長がくるくる代わり、経済危機という「100年に1度」の大嵐にあって乗組員があたふたしているときに、救命ボートで脱出するようなものだからだ。
 ▼「渡辺喜美の反乱」にあった船長も「個人の問題」とうそぶかず、大いに反省しなければなるまい。むろん、反省すべきは、漢字がろくに読めぬことでも、ホテルのバー通いでもない。改めるべきは、定額給付金が象徴する言動のぶれだ。
 ▼85%の人が受け取ると答え、男女、非正規、正社員の区別なく支給される給付金の評判が悪いのはなぜか。政策以前に首相ら与党政治家の軸足がふらついているからだ。「信なくば立たず」はいつの世も政治の根幹のはずである。

0 件のコメント:

コメントを投稿